酒粕ごと食べるのが珍しい

古くから米の産地だった佐賀平野。鍋島藩はその米を活かした酒造りを推奨し、明治期には佐賀県内に700軒もの酒蔵があったそうです。盛んな酒造りは、その副産物である酒粕も豊富に供給します。その恩恵を受けた有明海沿岸部では、水揚げする魚介類を酒粕に漬け込み保存するようになりました。ウミタケと呼ばれる二枚貝の水管や、タイラギ貝の身が主な具材でしたが、海産資源の後退に伴い魚介類が高級なものになりました。粕漬食を絶やさぬよう、奈良漬の技術も取り入れ安価に広く提供出来るように工夫したのが野菜の粕漬。漬物屋さんが余らせた大根・胡瓜などの端切れを使ったのが起りと伝わっており、酒粕同様捨てるところなく食べるための知恵でした。
野菜粕漬

酒粕を踏み込み空気を抜くことでじっくりと熟成

海茸粕漬、鯨軟骨粕漬、貝柱粕漬の盛り合わせ

取材協力:
川原食品株式会社
株式会社竹八
株式会社高橋商店
株式会社水産堂
有限会社竹下商店

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